ジャスミン・タクシー
私、やたらタクシーの話が多いかもしれません。友人らに会ってないときでも、あちこち出回っていると、必然的に出くわす相手はタクシー運転手となります。
エンターテイナー的な運転手も多いけど、結構失礼なことをいう人も結構いるので(イスラム教徒以外は獣と同じと言い放たれたこともある)、最近は言葉がわからないフリをすることも増えました。
タバコを吸い、始終電話に汚い言葉を吐き倒す人などに当たったときは、お金払いたくないとすら思う。
先週金曜の朝、大学に向かう朝のタクシー。前日の運転手が本当に嫌味たらしい人だったので警戒しながら乗り込むと、
中にはこじんまりと穏やかな面持ちで座るおじいさん。
「どこへ?」
と、短いながら丁寧な口ぶりが私に安心感を与えます。
しっかり座り込むとジャスミンの香りが漂う。
視線を下げてみると、摘まれてきたジャスミンの花がふわっとダッシュボードの上に置かれている。
この素敵な演出にうれしくなり、思わず
「これ、いいですねえ」
と運転手のおじいちゃんに声をかけてしまう。
おじいちゃんは特に声を発することもなく、ニコニコしたまま少し茶色になりかけた花だけを摘まみだして整える。
写真撮ってもいいですか、というと、不思議そうな顔をしながらもいいよ、と言ってくれた。
おじいちゃんは終始にこにことたたずみつつ運転を続ける。
あ~これ!!これだ、こういうゆったりした時を求めているよ、タクシーに。
心洗われる朝でした。