ミトラウィ、パスポート強奪事件と警官との再会

トズールからチュニスに上がるには、飛行機以外ですとバスが便利ですが、早朝または深夜発しかなく、スケジュールに無理が出ます。

朝はゆっくり起きたい、けど深夜にバスに揺られて朝早くチュニスに着くなんて不健康で嫌!という方は、

昼頃トズールからガフサに行くのがおすすめです。ガフサ・チュニス間はルアージュ本数が多いので、

15時ごろのルアージュに乗れば21時前にはチュニスに着きます。

 

そのトズールとガフサの間に、中継点であるミトラウィという町があります。中サイズの観光するものは何もない街ですが、山々に囲まれ景色の美しい街です。遠くにフェイジャ山が見えます。

こんなのどかな村でですね、私なんと、パスポートを強奪されたことがあるのです。

2012年、初めてチュニジアを旅行した時に、ガフサからトズールに向かう際立ち寄ったこのミトラウィの線路沿い。

首からぶら下げていた(不注意極まりない)、財布兼パスポート入れをやられちゃったんです。

 

それはもうパニックになり、道端のおじちゃんに訴えかけると警察に連れて行ってくれました。

色々端折りますが、警察がとてもやさしくかつ有能で、ものの1時間で犯人を見つけ、しょっ引いてくれたのでした。

 

それから6年たった今回、トズールで時間があったので、ミトラウィに来てみました。

もしかしたら、あの助けてくれた警察がいるかもしれない…と思い、薄い記憶をたどって、警察署まで歩いていく。

門番に、事情を話すと

「警察は毎年夏交代になるので、その警官はもういないだろう」

と言う。

 

まぁ、そうだよな…6年だし…

諦めて、ルアージュの駅に行ったら、あれ、なんだか見覚えのある顔がいる。

異様な雰囲気のおじちゃん、6年前、ルアージュの駅で犯人を見つけ、警察に連絡してくれた人だ!

「あ、なんかお前、見覚えあるぞ!」

とあちらも私に気づいた。

 

おじちゃんが言うに、件の警官はまだミトラウィで勤務しているが、所属はガフサであるといいます。

おじちゃんが電話番号を調べてくれ、6年ぶりに電話越しで話す。

その日はもう勤務を終えていたので、私がチュニスに帰る日に会うことになった。

 

ちょっとドキドキしながらも、6年前助けてくれたであろう、あの警官Aさんに会うことができました。

しかし、少し疑問が残る。確か、あの人は結婚していなかったんだけど、Aさんは子供が4人いて、

1人は高校生になっている。顔にこれでもかというぐらい見覚えがない。

もしかしたら、別人だったかもしれない。

あちらも、最初はその話はかすかにしか覚えていない、という風だった。

 

それでもAさんは、これでもかというくらい持て成してくれ、ご自宅で奥さんが料理をふるまってくれた。

車でミトラウィからガフサまで、またガフサのルアージュの駅まで送ってくれ、

この優しさはあの警官に違いない、と私も思い込むことにしました。

チュニジアに戻ってきてよかった、と思った日でした。