チュニジアの男女

  • はじめに

チュニジアはイスラム教の国、ゆえに性別による感覚や立場の違いは日本の常識とは違うんじゃないか?なんと思うかもしれません。確かに、日本とは違うことも少なからずあります。

チュニジアの男女云々についてトラベルサンの20代女性スタッフ目線で感じ取ったことをまとめます。


  • 労働

男女共に働いたり学んだり基本的に全ての権利が認められています。学校は通常共学ですし、女性は入っちゃダメというのはモスク以外に基本的にはありません。ただし、実際に働き手の多くは男性です。チュニジアでは近日、保険対象に入らない非契約雇用(従業員でも日雇い給料手渡し)の求人が多いです。それらの労働は主にスークやカフェ、レストランでの肉体労働であり、必然的に女性は肉体的に働くことの出来ない仕事となります。それゆえに女性の労働者が少なく、オフィスやスーパー、そうでなければ個人小売店での仕事が多いようです。例えばスークや店舗でも女性の服やひらひらランジェリー(!)までもおっさんが売ってます。私は男性店員から自分の着用する下着を買うのに抵抗があるのですが、チュニジア女性はおねーさんからおばちゃんまでためらうことなくお買い上げしております。日本でも同様ですが、チュニジア人の足、タクシーでもほとんどが男性ドライバーです。女性ドライバーも存在しますが、大変少数です。女性でも車を運転するのは普通です。しかし、交通マナーが悪いため、運転においてヘマをして周囲のドライバーを苛立たせると、これだから女の運転は困る!と、ののしっています。


  • カフェで

チュニジアでたむろう場所といえばカフェです。このカフェにもいろいろあり、スポーツ観戦(大抵サッカー)できるバー、芸術家やちょっとユニークな人たちの集まる近代カフェ、おしゃれな若者の集まる文化カフェなどさまざまですが、結構な割合でシーシャ(水タバコ)の煙くさい、中年以上のおじさまばかりしか見受けられないカフェがあります。そこは禁止ではないですが、基本的に女性は入りません。カフェの中にはCafe Mixとそうでないものがあり、前者はミックスだけに、男女どちらも入ることのできるカフェです。そうでないものは男性用のカフェになります。女性はその男性カフェの前をひとりで通るのも躊躇する場合があります。座っている男性が見えなくなるまで通りがけの女性を目で追いかけるためです。男には男だけの居場所が必要なのかもしれません。


  • 恋愛事情

訊きにくい話題ではありますが、これを知っているとチュニジアにおける性別関係というものが分かります。

チュニジアでは町を歩くカップルがわんさかいます。中東諸国のように厳しい規定などがなく、全く持って自由恋愛です。婚姻関係にない男女も学生も男女混ざってあるいはカップルでどこにでも出かけています。

ヒジャブ(ムスリム女性が髪を隠すために頭に巻くスカーフ)をつけている女性は厳格なムスリムだから夫以外との男性とは出かけない・・・ということもありません。女性は自分の意思でヒジャブをつけることが出来ます。チュニジアでは高校生からつけている人もいれば、中高年のおばさまでもつけていない人がいます。しかしこれはあくまで家庭の教えや自分の思想の問題なのでチュニジアの社会において取り上げられることはありません。

逆に、リゾート地以外の公共の場で露出度の高い女の子(そうめったにいませんが)はやはりあまりお育ちがよろしくないかと思います。ヒジャブ着用=よい子、というのは必ず当てはまるわけではないですが、露出度高い=悪い子、は当てはまるかと思います。生まれも育ちもヨーロッパという文化チュニジア人も多くいますが、彼らは通常親からチュニジアの生活習慣を教育されているはずなのでヨーロッパでは当たり前かもしれない露出度の高い服装もチュニジアではしません。チュニジアでそのような格好をしている人は多くが遊び人、あるいは援助交際目的の場合が多く、そうでなかったとしても実際に周囲からはそのように認識される傾向が強いようです。

カフェへ行くとカップルで隣同士で座って手をつないだり仲睦まじくしている様子も見られます。が、日本同様、公共の場でイチャコラするのはタブーです。挨拶として握手、抱擁や頬にビズ(音のみの軽いキス)は男女問わず、友人や近い知り合いであればしますが、恋人同士の場合は人で接吻や抱擁をすることはありません。西洋では場所を問わずにキスやらハグやらをしても平気ですが、チュニジアではモラルの関係でしてはいけません。ちなみに、一部ランク高め有名カフェの2階はいかがわしいコーナーになっており、リビア人との援助交際の待ち合わせややたらスキンシップの多いカップルがいたりします。事情の知らない人でもなんとなく雰囲気で入っちゃいけないのは分かります。あるいはチュニス市内のベルベデール公園でも夕方以降はあやしくなってきます。そのように、隠れてするのが一般的で人前で愛情表現あらわにするのは周りの人を尊重するために避けます。


  • 日本人男女に対して

日本人男性はオトコじゃない!と、日本人を知っているチュニジア人男性が言うのを聞きます。これはおそらく日本人にとっての美徳を知らないが故にそう言うのでしょうが、理由としては、おとなしすぎる・小さい・女性を守らない・無理通ししようとしない・あきらめがはやい・けんかっぱやくない・体毛が薄い・・・など様々。日本人女性的にはそれでいいんですけど。チュニジア人男性も色々いますが、若いころはやはり皆さんそれなりにやんちゃにたくましいことをなさってた様子。温室育ちの日本男児はやはり物足りないのかも・・・

一方、日本人女性は老若男女に大変もてます。色が白いのと華奢でセンスがいいからみたいです。東洋顔はベビーフェイスでかわいいといわれたりもします。道を歩いているだけで一緒に写真とってくださいということがあります。ましてやチュニジアン・ジェッバ(日常用民族衣装、伝統柄のワンピース)などを夏場に着ていると男女問わずに写真を頼まれたり男女問わず話しかけてきたりします。チュニジア人友人宅にお呼ばれした際も言葉が出来なくとも仕草や顔が気に入られるため打ち解け易いです。正直、日本人の場合、女性は得です。

時に突如街中で、元気?きれいだね、かわいいね、ちょっとお話しようよ。とか、好きになったから友達になろう。とか、電話番号だのFBだのが欲しいと言われることがありますが、こちらは忙しいからダメ、と、シャットアウトしましょう。シャットアウトできないときは無視して歩き続ければ大抵いなくなります。アタックが激しいチュニジア人は下心丸出しの人もいれば、ただ単に珍しい外国人の友達を作りたいだけの人もいます。ただし、将来いい友達になってくれる友達は決してそのように強引に近づいてはこないのできちんと見極めましょう。


  • 男性優先

日本でも昔から差別が若干問題となっていますが、チュニジアでもやはり女性よりは男性のほうが優位に立つ場合がどちらかというとあります。本来、男性が優位で女性が蔑まされるという考えというわけではありません。女性の労働者が少ないのは、女性を雇ってくれないからではなく、男性が女性を守り、養うべきだという考えからであり、必ずしも女性を下に見ているというわけではないようです。女性が結婚後夫にベールをかぶるように言われるのも、男性の独占欲からではなく他の悪い考えを起こす男性から守るためだということである、という背景があります。

例えば仕事を得る場合、肉体的に男性のほうが重労働を任せられる、夜間でも治安上働くことが出来るという場合から優位となります。いっぽう、男女で外出した際は恋人同士でなくとも男性が支払を持つ、あるいは大目に払う場合があります。これは文化として残っているものであり、日本にも名残があるのと同じかと思います。


  • 女性優先

さて、チュニジア人男性は基本的に女性に優しいです。レディースファーストが多いです。例えば扉を開けてくれたり、重いもの持ってくれたり、高いところにあるものをとってくれたり、席を譲ってくれたり。やはり女性がか弱い存在だということを分かっているので基本的に女性のお願いをぴしゃりと断る・・・ということはあまりないでしょう。スークや市場で買い物をするにも、男だけで買い物に行くよりは女性がいたほうが店員の態度がまったく違います。やっぱり女性は得かもしれません。

IMG_20160509_202853_R礼拝の際に男性はどのモスクも正面の入り口から入ることが出来ますが、女性は目立たない裏や脇にある女性用の礼拝所の入り口から出ないと入れません。これは女性が男性に気兼ねすることなく礼拝に集中できるための配慮からだと思います。(写真)IMG_20160509_202847_R