イード・アル・アドハー その2

アッスレーマ!

前回の記事では、犠牲祭(イード・アル・アドハー)の由来や込められた意味についてご紹介しました。
今回は、チュニジアの人たちは犠牲祭当日をどのように過ごすのかをご紹介します!実は私も親戚と一緒に犠牲祭を過ごし、日本ではなかなか経験できない貴重な体験をたくさんさせてもらいました。

犠牲祭当日の朝は、まだ日が昇って間もない時間から、多くのチュニジア人がモスクへ向かいます。各地のモスクでは特別礼拝が行われ、人々は家族の健康や平和、世界中の人々の幸せを祈ります。礼拝が終わると、「イード・ムバーラク!(良い祝祭を!)」と家族や友人、ご近所さんと挨拶を交わし、いよいよ犠牲祭の一日が始まります。

礼拝を終えると、それぞれの家庭で羊を屠ります。多くの家庭では朝7〜8時頃から始めるそうです。
預言者イブラーヒームが神への信仰を示そうとした出来事を記念する大切なこの儀式、現在では神への感謝と信仰を表す行為として受け継がれています。
近年では屠殺専門業者に依頼する家庭も増えているんだそう。
屠殺は男性の役割です。羊への苦痛をできるだけ少なくするため、太い頸動脈を一瞬で切断することが重要で、高い技術が必要なのだそうです。
一方、女性たちは腸や胃、内臓を何度も丁寧に洗い、料理の下準備を進めます。私も3頭分の羊の腸を洗うお手伝いをしました!

※この後、少しグロテスクな写真が出てくるので、苦手な方はご注意ください!!


お昼ご飯には、きれいに洗った腸や内臓をスパイスで煮込んだ料理と、チュニジア定番のサラダ・ムシュウィーヤを頂きました。新鮮な内臓は驚くほど臭みがなく美味しい!!


パパっと昼食を終えると、男性たちは引き続き羊肉を解体していきます。その間、私たち女性は「オスベーン」作りに取りかかります。
オスベーンとは、羊の胃袋に腸や内臓、ハツ、お米や野菜、そしてたっぷりのスパイスを詰めて煮込むチュニジアの伝統料理で、手間はかかりますが、犠牲祭ならではの特別な一品です。


すべての作業が終え、お肉をご近所さんへおすそ分けします。これも犠牲祭の大切な習慣のひとつ。
残ったお肉は小分けにして冷凍保存し、後日クスクスや炭火焼きなど、さまざまな料理で楽しみます。
ちなみに、羊の頭も火であぶって毛を取り除き、オーブンでじっくり焼いたり煮込んだりして食べます。私も初めていただきましたが、これまた臭みがまったくなく、とても美味しかったです。ラーゲンがたっぷりで、プルプルというより少しねっとりした独特の食感。

犠牲祭を一日体験して感じたのは、「私たちは生き物の命をいただくことで生きている」という、ごく当たり前でありながら普段忘れがちなことへの感謝でした。
そして犠牲祭は、単なる祝日ではなく、神への感謝、家族との時間、そして人々との分かち合いを大切にする、イスラム教における最も重要な祝祭の一つなのだと改めて実感しました。日本とは全く異なる文化や体験に触れることができ、とても貴重な経験になりました。ありがとう!!