ル・ケフ、ヘイドラ

ル・ケフ/ヘイドラ

Le Kef、Heidra

チュニジア北西のケフ県、カスリン県は夏は暑く乾燥し、冬は寒く雪が積もる。この厳しい土地には今でも守られている伝統と、のどかな農村風景、紀元前の遺跡も存在する。中心部から外れたこの街は辺りを山や畑の大自然に囲まれ、海辺や砂漠の生活とは異なる情緒を持ち合わせている。

ここではチュニジア第3の都市、ル・ケフとその郊外にあるカスリン県ハイドラ遺跡について紹介しよう。


ル・ケフ

チュニスから車で3時間、山を越え野を越え突如あらわれる山場の町、ケフ。IMG_20160523_180428_Rこの街の歴史はカルタゴ以前の歴史があり、長らく中心都市として繁栄してきた。現在でも多くの歴史を垣間見ることが出来るこの町はアルジェリア国境も近く丘の上にたたずむ。この街にはモスク、バジリカ、シナゴーグの3つの宗教建築を見ることが出来る。

また、山間部のため意外と寒かったり暑かったり、気温の変化が激しい。服装に気をつけよう。

なかなか起伏が激しく歩きづらいですが山間部ならではの美しい坂道風景を楽しもう。

交通網                  

IMG_20160523_182115_Rケフまでの行き方はバス、ルアージュがある。どちらも3時間という長旅、しかも周辺は山間部で休める場所もあまり無いので車が苦手な人は注意しよう。

チュニスから車をチャーター、あるいはレンタカーをすると近辺の町にも寄ることが出来るのでおすすめ。

市内移動はタクシーが便利。チュニスほどではないにしろ、黄色い一般タクシーが出回っている。タクシーで市街の遠出は不可。現地人に聞いたところによると、市内のタクシーはメーター制ではなく市中心部内ならどこでも一律料金一人600ミリーム。二人で乗った場合は1,2ディナールとなる。(街中には半分なくなってしまった市内の観光マップがある)

カスバ                                           

IMG_20160522_161044_Rケフの一番の見ものはこのカスバである。この城壁は2500年もの歴史があるといわれ、この街が侵略されるたびに建て替えられては修復された。実際に1992年までチュニジア軍隊の駐屯地であったが現在は城壁の内側にも民家が立っている。

車でカスバまで行くのは道が細いため少し難しいが近くで降りることが出来る。その後、この街の坂道を登っていくと町を一望できるカスバに入ることが出来る。

 

 

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入場無料。夕方以降は門が閉められるため入ることが出来ないので日中に見学して山からの大自然を眺望しよう。

近くに伝統民族博物館があり、こちらはチュニジア西部ベルベル民族の衣装や生活家財などが展示されている。月曜休館。入場料5ディナール+撮影料1ディナール

シディ・ブ・マクロフ・モスク                                  

IMG_20160523_181152_R現在この街の第一のモスク、グランド・モスクとして機能しているのがこのモスク。カスバを降りてすぐのところにある白い建物。ここにはモスクの名前になっているシディ・ブ・マクロフの墓を収めており、やはり神聖なる場所。非ムスリムは中へ入ることは出来ないが、入り口右側のモスクと同名のカフェは非ムスリムも入ることが可能である。

下の写真、大きな木の向こう側がモスク入り口、右側がカフェ。

 

 

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ダル・エル・クス教会(バジリカ/聖ペテロ教会)                      

上のこのシディ・ブ・マクロフモスクの横にある石で出来た古い建物がこの教会である。この建物は4世紀に立てられたもので、内部建築の細かい彫刻も残されている。中に入らなくとも柵越しに教会背後の庭を見ることが出来る。

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アル・グリバ・シナゴーグ                                 

ジェルバ島にあるものと同名のシナゴーグで、マグリブ地域にある6つの同名のシナゴーグの一つである。この建物は長い間、アルジェリアやベジャ周辺地方に暮らすユダヤ人にとっては重要な場所であったが、ユダヤ人の数が減ったことから放棄されていた。ようやく1994年に復元され、見た目は比較的新しいシナゴーグであるが歴史は長いという。

丘からの夜景                                    

ご存知、ケフは山の上にある街。もちろん眺めが大変いいところです。つまり、夜訪れれば夜景も美しい。

周辺は田舎なので明かりも少ないが、夜になれば隣の町がどのくらい離れているのかが分かる。

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ケフ郊外の風景                                     

ケフ周辺は畑に囲まれている。ケフにたどり着くまでに続く道は一面の麦畑!特に4月から6月にかけては一面黄金の野原に。他にもオリーブの木や果物の木など、日本の田舎と似た空気を味わうことが出来る。

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ちなみにこちらはパンを焼く土釜。釜自体ももちろん手作り。ケフ近辺の農村家庭にはかならずどこかにある。各畑に水を回す深くて大きな井戸も見つけることが出来るだろう。

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泉                                          

ケフは山に囲まれているため周辺あちこちに泉が湧いている。この泉はもちろん飲料可能。場所によっては家畜用に飲み場が低く、広くなっているところも。(写真1枚目)周辺住民はロバにタンクを乗せて飲み水を調達しに泉へやってくる。運がよければ羊の大群が泉に水を飲みに来るのを見ることが出来るかも。車移動の長旅のリフレッシュによるべき!

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ヘイドラ

ここはガイドブックでもあまり紹介されていない遺跡のある小さな町。IMG_20160523_134723_R町自体は小さいですが、大量の遺跡が大自然の中から発掘されている。

アルジェリア国境まで10km!車がないと行くことは出来ない。近隣の町にはタクシーが走っていないので車で行くか、チャーターするしか手段はない模様。

遺跡群                        

ここはだだっ広い自動車道に突如現れる遺跡群。ローマ時代から人が住んでおり、ここには大きな神殿や民家がたくさんあった模様。大きな建物の石壁がそのまま残りまさに自分だけが時代に取り残されたような気分だ。

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カルタゴ、ドゥッガ、ブラレジアの遺跡群と違うのは、ここは自然の中に手付かずで置かれていること。一応写真3枚目のような建物に管理者はいるものの、観光案内もしていなければ、入場料もとらない。町中にあるわけでもなく、迷ってしまえばおしまい。

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こんなに大きいクモも発見。手のひらサイズでオレンジ色。絶対毒ある。と思って調べてみたら、ヒヨケムシという北アフリカ特有の生き物。毒はありませんがかまれると相当痛いらしいですのでご用心。

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一部地下にもなっており、冒険気分を味わえる。

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観光客など誰一人いないところだが、羊の糞をあちこちで発見。まだ新しいのでおそらく毎日この近辺に羊飼いが羊を連れてやってくるのだろう。ここはまだ遊牧民のいる地域。

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大きな建物の跡には階段があるところがあり、登ることが出来る。おそらく地上3階ほどの高さ。その向こうにはなんと泉が!写真では小さいが、実際はとても大きく透き通っている。まさにインディージョーンズの世界!

しかもあたり一面自然しかない。道路一本以外は外灯も建物も電線もなく、そのまま。

映画・写真撮影のロケーションにもってこい。人も少ないのでとっても幻想的なはず。