タクシーと小さな世界
チュニジアに来たばかりのころ、2人のタクシー運転手と仲良くなった。
1人はクラスメイトとレストラン帰りに乗ったタクシーの運転手、ハムザ。
イタリア語が話せる、友達のいない人で、明るく見せてかなり根暗な点で気があった。
夜勤務で、勤務中電話をするとすぐ来てくれたし、根暗な話が面白かったけど、いかんせん根暗なので
しばらくすると電話に出なくなってしまった。
もうひとりは日本人会に行くときに拾ったタクシー運転手、アデル。
彼にはとてもお世話になった。アデルは朝勤務、小さい娘のいるお父さんで、
とにかくいつも私のことを気にかけてくれた。
仕事が終わると、自前の車で私を迎えに来て、カフェに連れて行ってくれ、
おごってくれ、時には親戚の結婚式にまで連れて行ってくれた。
アデルは携帯の一番上に登録されていて、nokiaの携帯がポケットから簡単に作動してしまい、
そのたびにアデルにかかっていた。
酷いときは毎日のように無言電話をしていて、それがなんだか気まずく、
一番上を存在しない電話番号に変えたのち、アデルに電話しなくなったいた。
昨日マナールの学校での授業後、クラスメイトとセンターに戻るべくタクシーに乗ると、
運転手に見覚えがあった。
運転手もミラー越しに私の顔をみて、おっ、という顔。
1年半ぶりに、アデルのタクシーを拾った。
偶然の再会にびっくり、今週の初めはタクシーはストライキをしていたから、
クラスでもタクシーのことが話題になっていた。タイムリーな再開だと思った。
これだけタクシーがたくさんあるチュニスで、ピンポイントでアデルに出会ったのは驚いた。
チュニスは首都ながら小さな世界です。