お酒の土日
チュニジアはアラブの割りにリベラルな国として有名だそうです。
むかしむかし、東京のバックパッカー用ホステルでバイトをしていたとき、
アラビア語とヒンディー語に熱があった私は、アラブっぽい人物から予約が入ると、
チェックインの日にシフトに入るのがうれしくてたまらないほどのアラブ人マニアでございました。
したがって、アラブ人やインド人が来ると異様に食いつく点で、マネージャーに苦笑されるのが毎日でした。
東京に来るアラブ人はあまり多くなく、そのほとんどがフランスや先進国で生まれた
二世アラブ人。アラビア語を解す人は少なく、他のお客と比べても静かな人が多かったので、
あまり親しくなることはなかった。
そんな中、ベルギーからやってきたアラブ・トルコ系4人組(モロッコ人3人とトルコ人)は、
ヨーロッパ生まれながらアラブっぽい柔らかウェルカム感があり、すぐに打ちとけた。
1人は幼少時代を少しモロッコの学校で過ごしたので、フスハーが上手だった。
私のあくなき執念と、彼らのフレンドリーさ相まって、ステイの間に友達として親交を深めることが出来た。
チュニジアに住むようになって、ヨーロッパが近くなったので、一度ベルギーまで彼らに会いに行った。
チュニジアのことを色々聞かれたけれど、印象的なコメントだったのは、
「チュニジアは女の子がリベラルでしょう」
というもの。私はこちらで恋愛をしていないけれど、彼らとしては、チュニジアみたいな国なら
割りと抵抗なく、恋愛が出来るはずだ、という見解があった。
先週の土日は、私としてはめずらしく、お酒を飲む土日だった。
土曜日は、メディナで家を買うという友達が、家の見学の後に一杯飲みたいというので、
家にあったお土産用のワインをあけた。
日曜日は、チュニジア人の友達が、家族との昼食に招待したいと言って下さり、
行ってみるとまず、ウィスキーで迎えてくれた。
ご家族は、お母様はヒジャブをしている方であり、私としては少し抵抗があったのだけれど、
いつもお父様がお客さんがいると飲むということで、誰も気にしないそうなので、いただくことにした。
私、実はどちらかというとお酒はあまり好きじゃないのだけれど、
私がお酒を飲む世界の出身であることを尊重してくれているのが、ありがたいと思った。
普通のスーパーでお酒が簡単に買え、道端ではおつまみ用のしょっぱい豆が売られ、豚も国内で手に入り、その他書くことに抵抗があるようなことも、ほとんど当たり前に存在しているチュニジアです。
おおっぴらにしないことが大前提ですが、多文化におおらかなチュニジアの姿は好きだなと思いました。