しばらくぶりのご家庭訪問
来たばかりのうかれていたころは、人にほいほいついていく純粋な人間でした。ほいほいついていき、ついでには家でご飯をいただくのが週に1回くらいはあった。
訪問先で、中庭の地べたに座り込み、葉野菜を選別し、ひたすらカットするおかあちゃんたちなどを見るのが楽しく、
ゲストルーム、キッチン、トイレなど何をとってもセンスが日本とは違うので、面白い!と思っていました。
それと同時に、家庭訪問後はものすごく頭が疲労しているのを感じていました。
わからない言語で延々と話しかけられ、お母さんからの質問の嵐、また行くと長時間「拘束」となる。
それも、人間は違うはずなのに出てくる質問はどこにいっても本当に判を押したように同じ。
例の、
「あらぁ、中国人?日本人?日本人はみんなすごい、先進国の人で、良くしつけられている、あなたは私の息子と同じであるため、また来る必要がある、その時には何を食べたいか?あ、チュニジアの料理のことしってる?モロヘイヤは?まぁ!知ってるのね、すばらしい、あなたはチュニジア人と同じ」
これを5回くらい繰り返します。
だから、行く前は『行くぞ…』と意気込み、万全の状態で臨むのが常でした。
そんなわけもあり、家庭訪問の数は激減していた。それが、ここ数か月仲良くしている人が、
ぜひうちでクスクスを食べてほしいと、しばらくラブコール?をくれていたので、
せっかくなのでお邪魔させていただいた。
私のリクエストは『オスベーンのクスクス』
羊の胃袋の中にあらゆる内臓をいれスパイスたっぷりで味付けしたパンチのある詰め物、オスバーン。
スコットランドのハギスとよく似ています。
イードの後、ご家庭でよく食されているようです。レストランではあまりいただけないので、ご家庭訪問の時よくリクエストします。
友達の部屋に入ると、すでにオスベーン、サラダ2種、クスクスなどすべて揃えていてくれていました。こんなにでかいオスベーン!!
なぜかナイフがぶっ刺さった状態でおかれていた
チュニジアのご家庭でいただく料理は、本当にめまいがするほどおいしく、つい食べ過ぎる。
あのシンプルなキッチンで、ほぼ人生を家で過ごすお母さんたちが作る料理が、あんなに風味豊かで世界観が広い味なのがびっくりする。
でも、何よりびっくりなのが、男たちは何も手伝わず、座り、33歳の友達も、母さんが全部使い終わった食器を下げるのをひたすら見ている。この時私が手伝うと、お母さんらはまああああっ。いいのよぉ、と言いながらしっかり指示くれるので、実は手伝ってほしいと思っているのは一目瞭然。彼の食い散らかしたパンのくずも母さんが懇切丁寧にふき取っているのを見て、おお、チュニジア人男子よ…と思うのでした。