ジェリドの女性、ラウダさん
チュニス南部にはショット・エル・ジェリドという塩湖があります。
このジェリドというのはその地域の呼び方でもあり、代表的なのがトズールです。
ジェルバでのんびりステイもよかったけれど、動きたい気持ちになり、昼のバスでトズールに行きました。
トズールは本当に素敵な所です。チュニジアでトズールが一番好き、という外国人、何人も見ました。
町のワキワキ感のみならず取り巻く自然が圧倒的に美しいですよね。
南部はおうおうにして男性社会感があるような気がしますが、こんな素敵な女性に会いました。
アーティストのラウダさん。
ラウダさんはトズールの旧市街の通りに自分の家兼アトリエを持っていて、
中を見ていたら、
「あら。どこから?日本?」
と声をかけてくれた。
ラッキーなことに他に人がおらず、彼女も少し持て余していたのか、
講演で使ったパワーポイント付きで、彼女の半生について語りだす。
幼少のころから頭がよく、常に学年トップだったラウダさん。お絵描きと本が大好きだったけれど、
あまりに成績が良いので親が勉強に集中させるため絵描きをやめさせてしまった。
見事スファックスの医大に進んだけれど、ラウダさんはスファックスの社会に合わず、教授ともめ、退学。
チュニスに上がってきて、行政を学び全体2位で卒業し、様々なところで働いたけれど、
「私はチュニスも嫌い。やっぱりジェリドが、トズールが良くて戻ってきた」
といいます。
トズールでも、男性社会の中で重要な仕事をさせてもらえず、不満が多かったそうです。
そんな中、フランスのプロジェクトで現在アトリエにしているこの家の修繕に関わった際、
貯金をはたいて家を買うことに決め、購入後アトリエに変えていったのだとか。
現在は画家、ワークショップ、ローカルガイド、講演、グラフィティ・プロジェクトなど積極的に活動していらっしゃいます。
トズールの中でも風そよそよ気持ちいい空間。ラウダさんと話しながら、コーヒーなどすすると、
ゆるりと肩の力がぬけていくようです。
ラウダさんの名刺は印刷ではなく、一つ一つ自らのデッサン。ジェリドの風景をすいすいと書いてくれました。
ずっといたいような気がしましたが、いい出会いはさりどきも大事。
小一時間過ぎてしまったところで、アトリエを出ました。
ラウダさんを訪れたい方は、有名なカフェ、ホシュベンアベスの少し先にあります。