チュニ語こぼれ話、マズルーブ

チュニジアのアラビア語、俗に言う(俗に知られていないかもしれないけど)チュニ語は、
なかなか特殊で面白いと思います。

どちらかというとマルタ語に近いらしく、ほかんとこのアラブ人は意味不明だと馬鹿にしますが、
言語は言語なのでしょうがない、ここでの主な言語は誰がなんと言おうとチュニ語。

私は初め日本で日本語がとてもじょうずなチュニジア人にチュニ語を習っていたんですが、彼の訳は時に
間違っていたのが、こちらに着てからちょこちょこ発見されてそれはそれで面白いんです。

たとえば、『忙しいって何?』と聞いたら、私のチュニ語先生は『マズルーブとかかな』と言った。

マズルーブは本来、急いでいる、という意味なんですが、なぜ彼はこう間違えて覚えてしまったんだろう?
と考えるとちょっと、奥深い。

地中海の国であるチュニジアは、やっぱりゆっくりしている。会社に向かって
あせりながらダッシュをしている人は、あまりいない。そもそも遅刻は30分くらいまでは許容範囲なので、
日常で急ぐ必要も、あんまりない。

一方日本では忙しい人が急いでいる感じがする。
忙しい、忙しい、とつぶやく暇もないくらい、パソコンカタカタ、隣の事務室に走り、死ぬ気の勢いでコピー、
上司から指示を仰いだ瞬間自分の机までダイブ!!!みたいな、忙しく急いでいる光景が、日本の文脈だと
よく浮かぶ。

そんな中で暮らし日本語を覚えた私のチュニ語先生は、急いでいると忙しいがごっちゃに
なっちゃったんだろうなぁ、と、なんとなく納得した。
アタフタした急いでるかんじ=忙しい、と彼は覚えたんだろうなぁ

ちなみに忙しいはチュニ語でレーヒーというそうです。
マズルーブといってもはてさて、通じず、なぜか急いでいる変な外国人と勘違いされますので注意。