チュニジアのJR、Transtuからのお願い看板

チュニジアのJRといっては大げさですが、チュニス市内のメトロやバス運行をつかさどるTranstuという会社が最近、メトロの利用客に向けてお願い看板を各主要駅に張り出しました。

というのが、こちら。

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私のようなメトロ通勤の者にとっては効果抜群の駅の看板広告。しかしTranstuのような運行会社からの広告を見たのは初めて。このポップな絵が目を引き思わずどんな広告なのかをチェック。すると今回はなんともチュニジアらしい内容です。

日本でも車内マナー向上のためのポスターが結構面白おかしく書いてあったりしますが、チュニジアでは日本と視点が違う模様。日本の場合だと席を譲りましょう、駆け込み乗車はやめましょう、着席スペースを考えましょう・・・などですが、チュニジアでは問題になりません。席はお年寄り、妊婦さん、けが人にどんな人も当然のように譲ったりするため問題になりません(こちらは大変いいこと)が、一方で駆け込み乗車は皆さんなさりますし、入れない、自分のせいで発車できないと分かっていても無理に乗車しようとします。車内の椅子は日本とは違い、一脚式になっているのでスペースを考えなければいけないことはありません。

ただ、しばしばチュニジアの電車で問題になってしまうのは、ペットボトルを置いていく(お金になるので誰かもってけという感じ)、外から電車の窓に石を投げる(ゲーム感覚)、非常ボタンを押す(好奇心)・・・などちょっとバイオレンスなイメージ。このような問題がポスターとなり張り出されています。ちょっと気をつければよくなるよ・・・とはいかなさそうなレベルです。

たしかに突如誰かが車内の非常ボタンを押してしまい電車が急停車、押した人がボタンを元に戻さない限り電車が発進しない・・・ということや、ひまわりの種の殻が床に食い散らかしてあったり(大きなハムスターでもいるのかと思うほど)日本とは事情がちょっと違うみたいです。

そして、もう一枚のポスターがこちら。

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チュニスのメトロには改札がありません。乗客が各駅にあるチケット売り場でチケットを買い、勝手に乗車します。つまりは検札員が車内にいなければキセル乗車が出来ちゃいます。そしておそらくただ乗りをしている人は全体の3分の1くらいを占めているとみられます。ゆえにたまにメトロが駅の手前で突如止まり、切符拝見!ということがあるります。電車の扉は閉められ、キセル乗車していた人は外に出て逃げてしまうことが出来ません。そこでコントローラーと呼ばれるTranstuのロゴの入ったジャケットを着ている人、たまに私服社員がチケットを見せるように全員に求めます。持ってない人はひやひやします。無賃乗車がばれると次の駅でいっせいに降ろされ、25ディナールの罰金が課されます。その場で持っていないと身分証明書の控えが取られ、裁判もって行かれるのだとか・・・。ちなみにこの25ディナール、チュニジア人フリーターの日給ほどの額なので持ち合わせていない人もわりと居ます。キセル乗車をし、さらには罰金を払うお金を持ち合わせていなかった人は手続きなどでさらにお金を払わなければいけません・・・だから一枚500ミリーム前後のチケットくらい買って乗車してね。と言うのが筋なのですが、チュニジアではそうはいかない。革命後はTranstuの検札員に向かってチケットを持っていないからといって逆切れをする乗客多発。たまに恐喝や暴力になることも・・・検札員は仕事してるだけなんですけど。・・・というかキセルしている人が悪い!この上のポスターも実はなぜか弱い立場になってしまっている検札員の様子が描かれています。ふきだしを意訳すると、検査員(右)「チケット拝見します」乗客(左)「きのう買ったチケットじゃ乗っちゃいけないって言うのかよ、あーん?!」・・・のような感じです。かわいそうなTranstu社員。

 

さて、チュニジア在住の日本人の皆様、なかなかメトロを使う機会はないかもしれませんが、乗ることがあれば意識して周りを見てみてください。いいこと悪いことありのままに見えます。

そして面倒くさくてもチケットを購入の上で乗車してくださいね!