パン耳をかじります
チュニジア人は味に保守的です。フランスが植民地にしていた割りに料理はフランチっぽくなく、
普段食べているものはすごくチュニジアらしい独特さがあります。
そんな中でもフランス感が現れているのはバゲットかなという感じです。
バゲットだけはデイリー消費品、食卓に並ぶとフランスのかおりが漂うようです。
夕方のお腹すく時間にカルフールに行きますと、パンコーナーの前でそわそわしながら待つ
チュニジア人たちに会えます。焼きたてバゲットが出てくると、のしのしのしと人が寄ってきて、
それマダムが8本、おじんが5本と買っていく。
焼きたての匂いはすさまじく良く、さくさくのパン耳がとてもおいしそう。
おいしそ~うと思って見つめたと思えば、チュニジア人はかじる。
カルフールの中で、かじっ。あ、お行儀が悪いぞ。
1本丸々くって、袋だけレジに通すおじさんも見受けられる。
ある日ドライバーが、家用に買ってきたパンを分けてくれました。
ほれっと分けてくれたのは、耳。チュニジア人の食事でもありおやつでもあります。
耳はガアモーラというそうです。
かじって小腹を埋めているのか、口に何か放り込みたいだけなのか、微妙なラインです。
スタッフのRちゃんなんかは、ガアモーラくれ~といってバゲットの端をちぎりとります。
日本人に人気なのは耳じゃないほう。日本語でなんていうんでしょう。
チュニジア語ではベーバなのよ、とマダム。
ガアモーラとベーバ。10円程度のバゲットの細部に隠されたお名前。
モノには何でも名前があるんだな、そんなこと一つ一つが面白いなぁと
思うチュニジア生活です。