送り返されるチュニジア人
最近ある研究者と話しました。
強制送還について調査している研究者。
チュニジアに滞在して、イタリアから強制送還されたチュニジア人の聞き込み調査をしています。
チュニジア人の不法移民は多いそう。ちゃんとした数字は分かりませんが、定期的にボートでイタリアに渡ろうとして沈んでしまったニュースが流れます。
少し昔はトルコから入る経由、ビザのいらないセルビアなどのヨーロッパの国に降りて別の国に渡る経由などがあったそうですが、最近は大分厳しくなってきているようです。
それでも既に不法滞在している人がたくさんおり、イタリアのみならずヨーロッパは躍起になって強制送還をしているのだとか。
研究者Aさんによれば、イタリア政府は毎週30人のチュニジア人を強制送還している。
ひどくたくさんのチュニジア人が不法滞在しているので、全員を探し出して送り返すことはできないが、
主に麻薬売買などで捕まった人の中で、特に逮捕歴の多い人などから優先して送還しているのだとか。
また、イタリア警察は「アラブっぽい見た目」の人を見れば職務質問をし、あぶりだしたりするのだそう。
あぶり出し、毎週30人の選抜、送り返す費用など、全てイタリア政府持ち。
大変なロスです。
Aさんは送還済みのチュニジア人にインタビューを続けていると言うので、
「どうやって見つけるのか、どんな人なのか」
聞いてみました。
「もう、本当に普通のチュニジア人。見つけ方は簡単。(庶民的な地域で)スークとか、ハヌート(キオスク)でイタリア語で話しかけて、返答があれば、大体強制送還された人だよ」
といいます。
昔メラッシーンという超シャアビー地域に友達が住んでいたとき、よく半ば強制的に遊びに行かされた。
メラッシーンは様々なチュニスの問題が凝縮されたところで、確かに道行く人道行く人
「あの人はドイツから強制送還。あの人はイタリア、あの人は…」
と友人が教えてくれて、ほんとかよと思っていたけれど、あながち嘘でもなさそうです。
そのくらい普通にいる。
本気でチュニジアが嫌になり、文字通り命を懸けて渡った人たちが、渡った先で犯罪に手を染め、
キックアウトされてしまう…なんとも悲しい構図です。
国の中で鬱屈が解決されてくれるようになることを祈るばかり。