医療事情
- まずはじめに
チュニジアは医療制度が全てフランスから来ているため比較的安心できる医療が受けられます。薬局も街のいたるところにあり、困ったときは薬局で症状を言えば処方箋のいらない薬も出してくれます。薬は比較的安く、チュニジア製、フランス製のものがありますがどちらも効き目があります。
薬局はフランス語でファルマシー、アラビア語ではサイダリーヤです。ヨーロッパと同じで杖に蛇マーク(ギリシャ神話の医学の神様アスクレピオスの持っていた杖からきています)が目印。ちなみにわりと多くある顕微鏡に蛇マークはラボラトリーなので薬は出してもらえません。お間違いなく。
軽い風邪をひいたときはGripexという薬を買うといいでしょう。風邪のひきかけ、或いは医者に行くのがだるいめんどくさい際は薬局で処方箋無しで購入できます。毎食後に1袋づつ一日3回水に溶かして飲みます。お値段は4ディナールしません。医者にみてもらっても処方薬の中に入っているほどポピュラーです。どこの薬局にも売られているので試してみましょう。(写真左)
しかし、症状によっては病院へ行くことをお勧めします。大きな病院ですとpoliclinic(ポリクリニック、総合病院)がいくつかありますが、郊外にあったり、見てもらうまで時間がかかったり、一般と救急が混ざっていたり、病院によって専門が分かれている場合があるので、街のお医者さんの診療所を訪れて診てもらうほうが早くて簡単。
- お医者さんの個人診療所を訪れる
診療所は多くが10時から17時ごろまで。他のお店と同じです。12時ごろから1時前後まではお昼休みで診療所が閉まっているか、事務の人だけいます。午後に出直しましょう。日曜日は休みのお医者さんが多いです。土曜日は開いているところとそうでないところがあります。どうしても必要な際はお医者さんの診療所でなくあきらめて総合病院をあたりましょう。
診療所を訪れる場合は街のビルの入り口にはDr.○○何科というのが書かれている看板がはってあるので自分の症状の専門家を訪れるといいでしょう。(下写真)
チュニジアのお医者さんは、チュニジア方言、アラビア語フスハー、フランス語を話すことが出来ますが、英語まで堪能な方はあまりいらっしゃいません。以上の語学に自身のない方はあらかじめフランス語などで症状を書いてどこが痛いか、どういう状況か、いつ発病したかなどを書いて伝えられるようにしておきましょう。
熱中症、風邪など単なる体調不良の内科系の場合とちょっとどこへ行けばわからないという場合は、一般医の意であるgénéraliste(ジェネラリスト、写真一番下)のところへ行けば何とかなります。そこの先生で手が出せないという場合は近所の専門医の先生を紹介してくれます。
初診料などは特にかかりません。診断料は大体30ディナールから60ディナール。専門科の先生に診てもらうと高くなる場合があります。
検査やレントゲンを撮る、エコーをするとなると追加料金がかかります。チュニジアのお医者さんのオフィスには日本のように逐一機械を置いてない場合が多いのでこのように必要な場合はそのお医者さんが紹介状を書いてくれます。検査であればラボラトリー、レントゲンやエコーの場合は専門のお医者さんの所にいき、その結果を持って当日或いは後日再度同じお医者さんのところで診てもらいます。
受診料は各お医者さんに直に、あるいは事務の人に払います。
もらった処方箋は紙を持っていけばどこの薬局でも出してもらえます。その薬局にこの薬はない、といわれた場合は違う薬局に行けば大抵そこにあります。そこで一日にどのくらい投薬するかなど教えてもらえます。薬の箱に薬剤師さんが書いてくれる線は、一日に何回、何錠飲むのかを示しています。
例えば写真の左側の薬なら一日3回2錠(これは目薬なので2滴ずつ)ずつ、右側の薬なら1日3回。食後か食前などのタイミングはアラビア語で書いてくれるので分からなかったら聞きましょう。
- 外科、救急が必要の際
怪我をしてしまった、という外科の場合は外科に行きます。ただ、大怪我(骨折など我慢できない重病)の場合は即救急へいきましょう。チュニジアの救急車は有料でしかも来るのも行くのも時間がかかるためタクシーを呼んでもらいましょう。一応追記として、救急車にも以下公共と私立救急車があります。
・公共救急車その1 白地の車体に青。番号は198。「SAMU」と書かれた医師同乗救急車。
・公共救急車その2 警察の赤い救急車。番号は198。交通事故などで警察と共に事故に駆けつけます。
・私立救急車 Allo Ambulance : 71-780-000 など(外務省Webページに載っています)
※公共救急車は基本的に公立病院へ患者を搬送します。公立病院の場合は医師不足、医療設備不足、長時間の待ちなどがあるので必要な場合は私立救急車を呼ぶのが無難です。しかし、上にも述べたとおり救急車とはいえ道を譲ってもらえるという交通モラルがチュニジアでは成り立っていないため、ちっとも早くありません。小回りのきくタクシーが無難です。
タクシーの運転手であれば救急の病院を公私限らず知っているはずです。病院へ行くと救急でも待たされる場合が(!)少なからずありますが、辛抱しましょう。一番心強いのはチュニジア人の友人を連れて行くことです。関係者に賄賂を渡すと順番が早くなりますがこれはこれはチュニジアでは目をつぶられていることで現地人でないとできません。(保険対象外です)順番が来ると医師に見てもらい、必要であれば即手術もしてもらえます。私立総合病院にて外科的処方をしてもらうと大変高額になります。(点滴1パック200ディナールなど)
- 夜間医療について
夜間の場合チュニジアには以下の選択肢があります。
24時間対応私立総合病院; 心強いですが、夜間特別料金も追加になるのでいつにも増して高額です。
公立の夜間救急対応病院; 安いのですが、待つことが多いです。そして医療処置には期待できません。
Pharmacie de nuit (夜間薬局); その名の通り他の薬局の閉まっている時間帯(20時過ぎから朝)に開いている薬局です。常に数名の薬剤師がおり、医師の処方箋薬もそうでない薬も売ってもらえます。各町1件単位であります。あらかじめ最寄の夜間薬局を調べておくといいでしょう。タクシー運転手に言えば大体通じます。(左、薬局のマーク)
Infirmerie(応急処置を行う看護室); 街のいたるところにあります。赤い三日月マークでInfirmerie(アンファルメリー)と書いてあります。大きさは小さめ。各町に一軒は有ります。日本にはない制度ですが、病院や医師に診てもらうほどでもない医療処置(包帯を替えてもらいたい、抜糸をしてもらいたい、処方されている注射を打ってもらいたいなど)を行ってもらえます。ここに在駐するのは医師ではなく看護士のためそれなりの医療行為はしてもらえますが診断はしてもらえません。困ったときはここに訪れてもいいかもしれません。夜間開いているところとそうでないところがあります。(左、看護室のマーク)
ちなみに以前チュニス市内に夜間外出禁止令が出た際、通常なら夜間指定時間内(21時~5時までなど)の外出は禁止ですが、このような医療的外出は例外に当たり、正当な理由であるため外出が可能です。上の夜間薬局や24時間対応の医療機関も開いています。
- 海外旅行保険手続きについて
海外旅行保険に入っている場合は、保険金請求のためにお医者さんからの診断書(certificat medicale)と、診断料の領収書(reçu)(大体手書きで処方箋の上に書かれ、医師のスタンプ)処方箋(ordonnance)と薬の領収書(薬局によってはただのレシート、または処方箋に手書きでかかれ、薬局のスタンプ)が必要になります。処方箋以外は頼まないともらえない場合が多いですので書いてもらいましょう。
日本と比べると一般医療であれば診断料も薬代もあまりかかりませんが現金で払わないといけないので少し多めに持っておきましょう。風邪程度の病気なら診断料と薬代を含めて100ディナールあれば十分なはずです。別の専門医に見てもらう必要がある場合や、改めて検査が必要な場合はもう100ディナールほど必要となります。
- どこへ行けばいいか
専門の医師に診てもらいたい、あるいはどこへ行けばいいか全く見当が付かない、という場合はBardo Centre(バルドーサントル)に行くといいでしょう。バルドー博物館近くのMonoprixというスーパーが一階にある建物一帯がお医者さんオフィスです。チュニス中心部からタクシーで15分ほどでつきます。メトロだと4番のBardoで降車です。このブロックには各専門の医師やラボラトリーが何十人と個人オフィスを構えています。建物の入り口を見て専門と部屋の階数を見て、その欄になかったら違うビルの入り口を見る・・・という形で全ての専門家を見つけることが出来ます。
ここ周辺には薬局が3件もあり、さらにレントゲン専門、血液検査専門、エコー専門など全てが3つほどのビルに揃っているので、入院でない限りすべてここで終わらせることが出来ます。
郊外ですが、El Manarにも診療所ビルが存在します。
総合病院へ行く必要があれば私立へ行きましょう。公立総合病院の場合は医師不足、医療設備不足、長時間の待ち、ストライキなどがあるためあまりお勧めしません。ただし、私立の総合病院へ行った場合は日本同等あるいはそれ以上高額の医療費がかかるので海外旅行保険へ加入している場合のみにしましょう。入っていない場合はやはり個人診療所へ行きましょう。
- 歯医者さん
歯医者は主に以上の医療機関には含まれません。バルドーやマナールの診療所ビルにも歯医者さんはいません。歯医者さんは他のお医者さんとは離れて住宅地などに診療所を構えています。日本と同様、虫歯治療や歯石取りなどきちんとした治療をしてくれます。
以下、有力歯医者情報を得ましたのでリリースいたします(2016年5月現在)
・La Marsa ラ・マルサ
Dr. Henem Ben Miled 住所:Centre medical SABRI 19 avenue de la Republic La Marsa
・大使館付近
Dr. Hatem Bedoui 住所:Centre Saint Augustin 15 rue Abou Hnifa Mutuelleville Tunis
チュニジアに来てアレルギーになったかも、今まで経験したことのないかゆみが!という方、アレルギー検査をしてみてはいかがでしょうか。パッチテストが日本よりも安く、簡単にアレルギー科で短時間で受けることが出来ます。さらに、薬もそこで処方してもらえますのでかなり助かります。トラベルサンスタッフも実際に検査を受けています。こちらを参考にしてください。
ちなみに
チュニジアの病院に病院のシンボルである赤十字マークは存在しません。日本では当たり前のように赤十字や緑十字が見かけられますが、チュニジアはイスラム圏のため、十字を使いません。たまに見かけられるのは赤新月、緑三日月マークです。
地図上でこのマークを見かけた際は大抵がモスクを意味します。しかし、病院や看護室のマークにもなり得ます。上に述べたとおり、杖に蛇のマークは薬局を意味します。緑が選ばれているのはこの色が平和と健康をあらわすためです。